友達
息子には小学校から仲良かった友達がいた。
6年間同じクラスだったのだ。
「あいつとは腐れ縁だ」と言っていた。
いつもその子の名前が出てきていたのに
突然聞かなくなって
「○君とは会っているの?」と尋ねると
「あいつとは今はあまり会ってない」
体を壊して会社を辞めて実家に戻ってきた時
仕事が終わった○君が家に来た事がある。
その後一緒に出掛けて行った。
私達はそのまま仲が良い友達だと思っていた。
息子が行方不明になって
友達が何か知っているかもと思った時
最近よく聞く友達は、彼ではなく□君だった。
私達は□君に連絡を取った。
やはり最後に□君に連絡をして悩みを打ち明けていたらしい。
□君の情報のおかげで早めに息子は発見された。
最初は私達に息子が自死をほのめかしていた事を言えず
連絡を受けてから直ぐに息子が言っていた場所に探しに行ってくれたそうだ。
仕事が終わって私達から連絡を受けたので
夜、真っ暗の中たった一人で□君は探しに行ってくれた。
その時彼は息子の仕事着が引っ掛かっているのを見ている。
でも私服だと思っていたらしく
息子がいつも着ている服じゃないので通りすぎたそうだ。
息子はその下の水の中にいた.....
葬儀が終わり
□君が仲良かった友達に連絡をしてくれた。
とても辛い役をやらせてしまった.....
ごめんね.....
夜9時頃、家のチャイムが鳴った。
こんな時間に誰だろう?
○君だった。
連絡を受け、□君との話の途中で飛んで来たようだ。
彼は気が動転しているのか言葉にならない
息子の祭壇を見て立ちすくんでいた。
お線香をあげたあと
「喧嘩している最中だったんです.....お互い意地張って仲直りしてなかった....」
聞くと、今までも喧嘩は何回もしては
仲直りを繰り返していたので
そのうちまた元に戻るだろうと思っていたと.....
早く社会に出た○君と大卒新社会人の息子の
仕事に対する意見が合わず
飲み会の席で口論になった二人が外に出ていって
それからだと□君が教えてくれた。
□君を通し
「あいつ、どうしてる?」
とお互い気になっていたようだ。
そのままになってしまった○君の無念さは計り知れない......
まだ納骨していないので
他の友達は自宅へ来るのは気が引けるだろう。
そして若いし自分の生活、仕事が大変なので
いつか息子の記憶も薄れていってしまうのは仕方がない。
わかっているが寂しいなと思っている時に
○君から「仕事が一段落したので、またお線香あげに行っていいですか」との連絡。
とても嬉しかった。
○君は息子の誕生日にもワインを一人で持って来てくれた。
同じ業界で働く幼なじみがいて
何度もぶつかり合って
これからもっと真の友達になっていけただろうに......
まだ開けられずにいる息子の携帯に
○君と仲直りする言葉が入っているのだろうか......
他の友達へ向けた言葉も何か残しているのだろうか.......
息子が生きた証
毎日使っていた携帯を
見る勇気が
今はまだ.....
悔やんで悔やんで
寂しくて悲しくて
でも.....
私だけじゃないんだ......
息子よ
○君と仲直りしてよ.....
友達に何か言ってあげてよ
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